オランダ出身の歴史家でジャーナリストであるルトガー ・ブレグマン(Rutger Bregman)の「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」を、各章ごとに紹介しています。
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章は、100年近く前にケインズが予測した、週15時間労働の時代の到来についてです。
しかし、1855年にオーストラリア・メルボルンの石屋が1日8時間労働を保証したころから、労働時間が減少しはじめます。
19世紀末になると、イギリスの労働時間は週60時間に減少しました。
1926年には、ヘンリー・フォードが、史上はじめての週5日労働を実施します。
そして、ヘンリー・フォードは、自社の従業員は、週40時間労働がもっとも生産的であることを証明しました。
また、シリアルの世界的ブランドのケロッグでは、1日6時間労働にしたところ生産性が高くなっただけでなく、従業員を増やすことまでできたのでした。
しかし当時の調査では、アメリカ人実業家32人のうち30人は、労働者の自由時間が増加することは、犯罪や借金や堕落につながると考えていましたが、1933年には、米上院は週30時間労働を導入するための法案を承認しました。
このように、労働時間が加速度的に短縮している様子をみて、ケインズは2030年には週に3日しか働かない時代がやってくると予測したのです。
オーストラリア、オーストリア、ノルウェー、スペイン、イギリスなどで労働時間の減少がとまり、アメリカでは逆に労働時間が増加しはじめました。
1850年~1980年まで、おもに先進国の労働者は、経済成長によって余暇と消費を手に入れましたが、主に消費が増えました。
収入が増えず、格差が広がっても、借金によって消費を続ける時代がはじまりました。
これが、労働時間の短縮は無理だという主張の根拠であり、働かなくなれば生活レベルが下がるという恐怖へとつながっています。
転職保障のプログラミングスクール
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章は、100年近く前にケインズが予測した、週15時間労働の時代の到来についてです。
隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働 | ||||
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第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
ヘンリー・フォードがはじめた週5日労働
19世紀の産業革命時代のイギリスの工場労働者は、週70時間労働があたりまえでした。しかし、1855年にオーストラリア・メルボルンの石屋が1日8時間労働を保証したころから、労働時間が減少しはじめます。
19世紀末になると、イギリスの労働時間は週60時間に減少しました。
1926年には、ヘンリー・フォードが、史上はじめての週5日労働を実施します。
そして、ヘンリー・フォードは、自社の従業員は、週40時間労働がもっとも生産的であることを証明しました。
また、シリアルの世界的ブランドのケロッグでは、1日6時間労働にしたところ生産性が高くなっただけでなく、従業員を増やすことまでできたのでした。
しかし当時の調査では、アメリカ人実業家32人のうち30人は、労働者の自由時間が増加することは、犯罪や借金や堕落につながると考えていましたが、1933年には、米上院は週30時間労働を導入するための法案を承認しました。
このように、労働時間が加速度的に短縮している様子をみて、ケインズは2030年には週に3日しか働かない時代がやってくると予測したのです。
借金によって消費を拡大させる資本主義の登場
労働時間の短縮は1970年代にストップし、1980年代には労働時間の減少傾向が終わりをつげます。オーストラリア、オーストリア、ノルウェー、スペイン、イギリスなどで労働時間の減少がとまり、アメリカでは逆に労働時間が増加しはじめました。
1850年~1980年まで、おもに先進国の労働者は、経済成長によって余暇と消費を手に入れましたが、主に消費が増えました。
収入が増えず、格差が広がっても、借金によって消費を続ける時代がはじまりました。
これが、労働時間の短縮は無理だという主張の根拠であり、働かなくなれば生活レベルが下がるという恐怖へとつながっています。
転職保障のプログラミングスクール
誰もが労働時間を減らしたがっている
現代では、仕事の時間と余暇の区別がつきにくくなっています。
管理職や専門職は、週に80~90時間も労働と監督業務をこなし、いつでも連絡がとれる状態にあります。
インターネットとスマホの普及で、現代人は習慣的に超過勤務をしていることになります。
しかし、本音では、誰もが労働時間を減らしたがっているのです。
アメリカで、2週分の給与の上乗せか、2週間の休暇のどちらが良いかたずねたところ、休暇を選んだ人は、給与を選んだ人の2倍でした。
イギリスでは、宝くじの当選と労働時間の短縮のどちらが良いかをたずねたところ、労働時間の短縮を選んだ人が、宝くじの当選を選んだ人の2倍になりました。
誰もが労働時間を短縮したいと考えているにもかかわらず、オフィスでは、誰が最も長い時間デスクに向かっているか、相互にチェックするような状況になっています。
また、雇用主にしても、健康保険料や福利厚生費が、従業員ひとりあたりで支払うことになるため、2人のパートタイムより、ひとりの社員に残業させた方が安く済むという経済的なメリットがあるため、労働時間を短縮するより、むしろ長時間労働のほうへ進んでしまっているのです。
社会人転職コース(インフラエンジニア)
労働時間の短い人ほどストレスがなく、人生に対する満足感が高い傾向にあります。
また、長時間労働はミスにつながりやすく、管理職の働き過ぎが大惨事につながった事例も多くあります。
しかも、労働時間が短い国は、男女平等ランキングでは上位にあります。
男女間の労働時間の差が最も少ないスウェーデンでは、育児や父親の育児休暇のためのシステムがしっかり法制化されており、取得率も高いのです。
そして、この傾向は、残りの人生もずっと続きます。
ノルウェーの調査では、育児休暇をとる男性の50%以上に、積極的に洗濯を手伝う傾向が見られ、カナダでも、育休をとる男性は家事や育児に、より多くの時間を費やすことがわかっています。
日本は、男女平等指数が低く、男性の育休取得率も数パーセントという長時間労働の国です。
しかし、育休を男性がとらないと、その後も育児や家事に参加しない傾向があるとなれば、男性に強制的に育休をとってもらうことで、日本が男女平等の国上位にランクインできるようになります。
そして、格差が大きい国は労働時間が長い国なのです。
第7章へ続きます。
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第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
第8章 AIとの競争には勝てない
第9章 国境を開くことで富は増大する
第10章 真実を見抜く1人の声が、集団の幻想を覚ます
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
管理職や専門職は、週に80~90時間も労働と監督業務をこなし、いつでも連絡がとれる状態にあります。
インターネットとスマホの普及で、現代人は習慣的に超過勤務をしていることになります。
しかし、本音では、誰もが労働時間を減らしたがっているのです。
アメリカで、2週分の給与の上乗せか、2週間の休暇のどちらが良いかたずねたところ、休暇を選んだ人は、給与を選んだ人の2倍でした。
イギリスでは、宝くじの当選と労働時間の短縮のどちらが良いかをたずねたところ、労働時間の短縮を選んだ人が、宝くじの当選を選んだ人の2倍になりました。
誰もが労働時間を短縮したいと考えているにもかかわらず、オフィスでは、誰が最も長い時間デスクに向かっているか、相互にチェックするような状況になっています。
また、雇用主にしても、健康保険料や福利厚生費が、従業員ひとりあたりで支払うことになるため、2人のパートタイムより、ひとりの社員に残業させた方が安く済むという経済的なメリットがあるため、労働時間を短縮するより、むしろ長時間労働のほうへ進んでしまっているのです。
社会人転職コース(インフラエンジニア)
長時間労働と生産性に相関性はない
フォードやケロッグの事例にあるとおり、労働生産性と長時間労働に相関性はなく、むしろ、つねに想像力を発揮している人が生産的でいられるのは、平均で6時間以下というデータさえあります。労働時間の短い人ほどストレスがなく、人生に対する満足感が高い傾向にあります。
また、長時間労働はミスにつながりやすく、管理職の働き過ぎが大惨事につながった事例も多くあります。
しかも、労働時間が短い国は、男女平等ランキングでは上位にあります。
男女間の労働時間の差が最も少ないスウェーデンでは、育児や父親の育児休暇のためのシステムがしっかり法制化されており、取得率も高いのです。
男性が育休をとらないと、その後も家事や育児への参加が少ない傾向に
子どもが誕生したあと、数週間を家庭で過ごす男性は、その間、妻や子どものために多くの時間を割き、料理もよくします。そして、この傾向は、残りの人生もずっと続きます。
ノルウェーの調査では、育児休暇をとる男性の50%以上に、積極的に洗濯を手伝う傾向が見られ、カナダでも、育休をとる男性は家事や育児に、より多くの時間を費やすことがわかっています。
日本は、男女平等指数が低く、男性の育休取得率も数パーセントという長時間労働の国です。
しかし、育休を男性がとらないと、その後も育児や家事に参加しない傾向があるとなれば、男性に強制的に育休をとってもらうことで、日本が男女平等の国上位にランクインできるようになります。
そして、格差が大きい国は労働時間が長い国なのです。
第7章へ続きます。
<関連の投稿>
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
第8章 AIとの競争には勝てない
第9章 国境を開くことで富は増大する
第10章 真実を見抜く1人の声が、集団の幻想を覚ます
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
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