オランダ出身の歴史家でジャーナリストであるルトガー ・ブレグマン(Rutger Bregman)の「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」を、各章ごとに紹介しています。
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
半分を過ぎました。
第7章は、本当に価値ある職業の給料がやすく、人間が生活するために必要ではない職業のほうが高い給料であるという事実についての考察です。
サービス産業が増大してきた背景には、農業や工業の生産性の向上があります。
農業や工業は、生産性が上がるにつれて経済に占める割合が縮小し、雇用される人間も減少していきました。
その結果、会計士、弁護士、アドバイザー、ブローカーなど、多くの職業を生み出してきました。
弁護士や会計士のように、相応の資格がないと仕事につくことができない職業が増えてきたのは、人間にとって本当に価値のあるものを作らずにお金を儲けるのは、才能と野心と思考力が必要とされるからです。
経済学者のロジャー・ブートルは、「投機の天才とは、人がしていないことに気づく、あるいは、人より早く気づく人だ」と指摘しています。
多くの人が、有形の価値を生み出さないまま金を儲けるシステムを作り出し、もっとも高額の給料を得ているのは、富を移転するだけで、有形の価値をほとんど生み出さない職業の人々となりました。
ルトガー・ブレグマンは、一例としてアイルランドでの銀行員のストライキについて取り上げています。
半年間も銀行員がストにはいり、銀行は閉鎖していたにもかかわらず、アイルランドの人々は独自の貨幣システムをつくりだし、生活には何の支障もなかったというのです。
この事態について、経済学者であり経営思想家のウメール・ハークは「人が銀行を必要とするよりもはるかに銀行のほうが人を必要としているのだ」と断じています。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスによる研究では、多くの人が仕事人生のすべてを、自ら無意味と思う仕事に費やしているという結論を導いています。
イギリスの労働者の37%が、自分の仕事をくだらないと感じているのです。
過去30年間に、先進国では管理職が増え続けましたが、それによって1ドルも豊かにはなっていません。
そして、管理職の多い国ほど、生産性と革新性が低いという評価なのです。
「何かを生産しなくても富を得ることができる」という基本原則のもとでは、革新しないことが、ますます利益を上げるようになっています。
トレンド・ディスカバリーFX
1970年代、ハーバードの男子学生で研究者になる人は銀行業界に進む人の2倍いましたが、20年後、進路選択は逆転し、金融業界に就職する人は、研究職にすすむ人の1.5倍になりました。
高額所得者に高い税金を課せば、才能ある個人を、負の外部性を持つ職業から、正の外部性をもつ職業に再分配するのに役立つと、著者は説きます。
すなわち、税金を高くすれば、有益な仕事をする人が増えるというのです。
1秒スキャルFX
しかし、教育は適応の手段として、国の政策に合う人材を供給したり、人生を楽に生きるための潤滑油として提供されていると、著者は主張します。
教育における議論は形式や教授法ばかりで、明日の求人市場のために身に着けるべきスキルと知識に終始しています。
そして、利己的に金を稼ぎたいと思っている人々を作り出しているというのです。
フリマハッカー
労働時間を短縮するのは、本当に重要なことに、より多くの時間を費やすためです。
1968年、ニューヨークのゴミ収集作業員がストライキを起こし、1週間後に市長から譲歩を引き出しました。
その理由は、たった1週間で市内はゴミだらけになり、まるでスラムのようになってしまったからです。
そして現在、ニューヨークのゴミ収集作業員は誰もがなりたい職業となりました。
勤続5年で年収7万ドル、くわえて残業手当をはじめとする各種手当がつきます。
ゴミ収集作業員は、人々の生活を支える大切な仕事です。
著者は、本当に必要な仕事に従事する人々の給与を増やすべきであると、この章を通して主張しています。
研究者が1ドル儲けると、5ドル以上が経済に還元されますが、銀行が1ドル儲けるごとに、どこかで60セントが失われているためです。
第8章につづきます。
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第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
第8章 AIとの競争には勝てない
第9章 国境を開くことで富は増大する
第10章 真実を見抜く1人の声が、集団の幻想を覚ます
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
半分を過ぎました。
第7章は、本当に価値ある職業の給料がやすく、人間が生活するために必要ではない職業のほうが高い給料であるという事実についての考察です。
隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働 | ||||
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第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
富を作り出すのではなく移転しているだけの職業が増加
先進国の多くは、サービス産業がGDPの大半を占めています。サービス産業が増大してきた背景には、農業や工業の生産性の向上があります。
農業や工業は、生産性が上がるにつれて経済に占める割合が縮小し、雇用される人間も減少していきました。
その結果、会計士、弁護士、アドバイザー、ブローカーなど、多くの職業を生み出してきました。
弁護士や会計士のように、相応の資格がないと仕事につくことができない職業が増えてきたのは、人間にとって本当に価値のあるものを作らずにお金を儲けるのは、才能と野心と思考力が必要とされるからです。
経済学者のロジャー・ブートルは、「投機の天才とは、人がしていないことに気づく、あるいは、人より早く気づく人だ」と指摘しています。
多くの人が、有形の価値を生み出さないまま金を儲けるシステムを作り出し、もっとも高額の給料を得ているのは、富を移転するだけで、有形の価値をほとんど生み出さない職業の人々となりました。
ルトガー・ブレグマンは、一例としてアイルランドでの銀行員のストライキについて取り上げています。
半年間も銀行員がストにはいり、銀行は閉鎖していたにもかかわらず、アイルランドの人々は独自の貨幣システムをつくりだし、生活には何の支障もなかったというのです。
この事態について、経済学者であり経営思想家のウメール・ハークは「人が銀行を必要とするよりもはるかに銀行のほうが人を必要としているのだ」と断じています。
専門職の半数が自分の仕事は「意味も重要性もない」と感じている
ハーバード・ビジネス・レビューによる12,000人の専門職の人を対象とした調査では、半数が自分の仕事は「意味も重要性もないと感じ、同じく半数が、自らの会社の使命に共感していなかった」という結果を報告しています。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスによる研究では、多くの人が仕事人生のすべてを、自ら無意味と思う仕事に費やしているという結論を導いています。
イギリスの労働者の37%が、自分の仕事をくだらないと感じているのです。
過去30年間に、先進国では管理職が増え続けましたが、それによって1ドルも豊かにはなっていません。
そして、管理職の多い国ほど、生産性と革新性が低いという評価なのです。
「何かを生産しなくても富を得ることができる」という基本原則のもとでは、革新しないことが、ますます利益を上げるようになっています。
トレンド・ディスカバリーFX
レーガン時代の減税がハーバード大卒者を教師・技術者から銀行員や会計士へと変えた
レーガン大統領時代におこなわれた減税は、米国の知性を代表するハーバード大学の卒業生の進路を変えました。1970年代、ハーバードの男子学生で研究者になる人は銀行業界に進む人の2倍いましたが、20年後、進路選択は逆転し、金融業界に就職する人は、研究職にすすむ人の1.5倍になりました。
高額所得者に高い税金を課せば、才能ある個人を、負の外部性を持つ職業から、正の外部性をもつ職業に再分配するのに役立つと、著者は説きます。
すなわち、税金を高くすれば、有益な仕事をする人が増えるというのです。
1秒スキャルFX
現在の教育はより楽に生きるための潤滑油に過ぎない
世の中で、もっとも影響力のある職業・教師は、子どもの将来の形成に手を貸し、人類の歴史の流れを作っています。しかし、教育は適応の手段として、国の政策に合う人材を供給したり、人生を楽に生きるための潤滑油として提供されていると、著者は主張します。
教育における議論は形式や教授法ばかりで、明日の求人市場のために身に着けるべきスキルと知識に終始しています。
そして、利己的に金を稼ぎたいと思っている人々を作り出しているというのです。
フリマハッカー
新たな理想を中心に教育を再構築する
どの問題が解決を必要としているか、どうやって生計を立てたいか、を考える教育へとシフトすれば、給料が高ければ、その仕事の社会的地位も高いという誤った考えを捨てることになります。労働時間を短縮するのは、本当に重要なことに、より多くの時間を費やすためです。
1968年、ニューヨークのゴミ収集作業員がストライキを起こし、1週間後に市長から譲歩を引き出しました。
その理由は、たった1週間で市内はゴミだらけになり、まるでスラムのようになってしまったからです。
そして現在、ニューヨークのゴミ収集作業員は誰もがなりたい職業となりました。
勤続5年で年収7万ドル、くわえて残業手当をはじめとする各種手当がつきます。
ゴミ収集作業員は、人々の生活を支える大切な仕事です。
著者は、本当に必要な仕事に従事する人々の給与を増やすべきであると、この章を通して主張しています。
研究者が1ドル儲けると、5ドル以上が経済に還元されますが、銀行が1ドル儲けるごとに、どこかで60セントが失われているためです。
第8章につづきます。
<関連の投稿>
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
第8章 AIとの競争には勝てない
第9章 国境を開くことで富は増大する
第10章 真実を見抜く1人の声が、集団の幻想を覚ます
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
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