『鬼滅の日本史』読了。
小和田哲男さんは、歴史学者として『呪術と占星の戦国史』という本も上梓しています。
この本は、おかたい学者というイメージを払ってくれる、とても貴重な内容だと感じたことを覚えています。
文献に見る鬼の歴史
『鬼滅の日本史』は、歴史文献のなかで「鬼」について記述された内容を、詳細に解説しています。
その説明は、ちょっとくどいくらいですが、想定する読者層がティーンエイジャーだからかもしれません。
歴史好きなひとや、歴史を学んできたひとにとっては、当たり前すぎる内容が多く含まれています。
とはいえ、「鬼」を歴史的資料から分析することによって、日本の歴史のなかで、埋もれてきたひと、ひとならざるものと考えられてきた人々のことを思い出すことができます。
それは、現代社会に置き換えると、差別やいじめにも通じると感じました。
歴史は支配者が創るもの
くりかえし、くどいほどに説明される「鬼」ですが、歴史は勝者が創るもの、支配者に都合よく創られるもの、というメッセージが隠されているのかも。
鬼は、支配者に従わない、ひとや集団を指しているからです。
そういう反対勢力の意見や見方は、歴史文献に残ることがほとんどありません。
昔話や、地方の言い伝えにわずかに残る程度。
それだけ、事実であっても、為政者にとって都合が悪ければ、あったこともなかったことにされる。
それが歴史なのだということでしょう。
『鬼滅の刃』の解説書という位置づけの本書ですが、歴史について、考えさせられました。
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