『呪術の日本史』読了。
Amazonでの評価は3.9
呪術や陰陽師に関する研究所を読んでいる人には、簡潔にまとまった本書は、参考書的に読むことができます。
『呪術の日本史』の参考文献として、小松和彦先生の『異界と日本人』『呪いと日本人』といった民俗学的な研究書から、小和田哲男先生の『呪術と占星の戦国史』のような歴史的な研究書、さらには古代日本と天皇家、日本書紀・古事記の研究書など、多数が網羅されています。
『呪術の日本史』では、『呪術廻戦』の登場人物と、そこに登場する呪術に関して、それらの知識や情報から、「歴史的にみて〇〇と関連付けられる」「〇〇の流れをくむ」といった解説が行われています。
とても良くまとまっているにもかかわらず、Amazonでの評価が3.9と微妙なのも、この点にあるのかもしれません。
呪術や陰陽道などに興味があって、そういう視点で『呪術廻戦』を楽しむ読者にとっては、最初に書いた通り、参考書的なサブテキストとして役立ちます。
いっぽう、そもそも日本史や古代の日本人などに興味がなく、『呪術廻戦』をみてはじめて興味を持った人たちには、すこし難しい、面倒な本になってしまっているかもしれません。
ストレスと呪い
『呪術廻戦』のなかでも、都市ほど呪いが多い・強いという表現がありますが、この理由について、『呪術の日本史』のなかでも書かれています。
現代ほど呪いが横行する世界・社会はない。
その理由は、日本人にとくに強い同調圧力と、言霊信仰を持つ日本人にとってSNSで放たれる言葉が呪いとなっているからです。
さらに、「穢れ」という概念をもっているため、ちょっとしたことで差別も生まれやすいのが、日本人だともいえます。
いっぽうで、そういう影響を受けない・受けにくいのが、五条悟であり、両面宿儺であるという説明です。
サイコパス、ソシオパスとも表現できるかもしれませんが、同調圧力を跳ね返せるような精神力がないと、呪いには勝てないようです。
これは、そのまま今を生きる日本人に通じると思いました。
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