「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」読了。
「三体」の続編であり、まだ、途中ですが、書いておこうと思います。
なぜなら、とても、興味深い展開だからです。
羅輯(ルオ・ジー)を軸に、「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」は展開していきますが、まるで2つの別の物語を、1つに編集し直したかのような印象があります。
伏線と呼ぶには長すぎる、羅輯(ルオ・ジー)の妄想というか、想像上の女性との恋愛譚が、主題である、地球外知的生命体(三体人)が地球を攻撃しにやってくる物語にまとわりついているような感じなのです。
音楽でいえば、まったく別々に作った曲を、1つに作り直したような感じです。
しかし、羅輯(ルオ・ジー)の妄想力が、このあと役立つのではないかと期待しています。
人間には、嘘があり、欺瞞があり、戦略がありますが、三体人にはないのです。
人間は本心を隠すことができますが、三体人は本心を隠すことができないのです。
これは、とても重要な設定です。
一方、地球には「智子(ソフォン)」という物質が放たれ、地球上で言葉として放たれた情報は、すべて三体人に筒抜けとなります。
「智子(ソフォン)」は、「三体」の最後のほうで説明されていた物質で、AIを搭載した陽子(だったかな?)のようなものです。
そして、「智子(ソフォン)」によって、科学技術の進化が阻害されているという設定なのです。
「三体」で、科学者が何人も自殺するのは、これが原因なのかもしれませんが、関連性は明確に書かれていません。
直面する人、という意味だと思います。
羅輯(ルオ・ジー)は、適当に女遊びする、たいした成果を残していない学者なのですが、なぜか4人の面壁者のひとりに選ばれます。
三体人に考えを知られないために、面壁者は、何の説明なしに、自分の要求を通すことができるのです。
羅輯(ルオ・ジー)は、三体人のことなど忘れ、自分の思い通りの生活をするために、その権利を利用するのですが、破局を迎えてしまいます。
そして、羅輯(ルオ・ジー)は、本格的に面壁者として道を歩み始めます。
それが、「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」冒頭に登場する、葉文潔(イエ・ウェンジェ、三体人とコンタクトした人物)と羅輯(ルオ・ジー)の会話です。
そこで、葉文潔(イエ・ウェンジェ)が示したのは、2つの公理と、2つの概念です。
「生存は文明の第一欲求である」
「文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量はつねに一定である」
猜疑連鎖と技術爆発
下巻では、これらがテーマになってくるのではないかと思います。
地下200メートルの核シェルターに籠もってしまった羅輯(ルオ・ジー)の殺害指令が、三体人から地球の協力者たち(地球三体協会)にくだされますが、不可能にみえます。
そこで、登場するのが、ウイルス感染によって、遺伝子誘導ミサイルを羅輯(ルオ・ジー)に届けるという作戦なのです。
遺伝子誘導ミサイルとは、特定の個人にだけ発症、重症化して死に至るウイルスのことです。
感染力がきわめて高く、標的となる人物の周辺にまいてしまえば、確実に標的を仕留めることができるという遺伝子改造ウイルス。
感染すると風邪の症状がでるのですが、羅輯(ルオ・ジー)と直接会って話をする人物が感染し、羅輯(ルオ・ジー)にうつしてしまうのです。
そして、羅輯(ルオ・ジー)は、死の一歩手前で冬眠することになります。
この呪文が、いったいどんな意味があるのか、まだ全然検討がつきませんが、まさかの第2勢力到来で、三体人に対抗するのか?なんて考えてしまいました。
そして、三体艦隊は、「智子(ソフォン)」だけでは足りないのか、新たな探査機を地球にむけて発射します。
三体人が、もっとも恐れる羅輯(ルオ・ジー)は、これからどうなるのでしょうか?
中国では、ドラマ化が決まったようなので、ますます先が読みたいです。
しかし、前作で放射能に汚染され、白血病を発症。
一足早く、冬眠し、最後の決戦のときに再び目覚めるようです。
死にそうな二人が、下巻では、どんな活躍を見せてくれるのでしょう?
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【劉慈欣】「三体」
超限戦 21世紀の「新しい戦争」
「三体」の続編であり、まだ、途中ですが、書いておこうと思います。
なぜなら、とても、興味深い展開だからです。
2つの物語を1つにしたような・・・
「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」は、羅輯(ルオ・ジー)という登場人物の物語といっても良いのではないでしょうか。羅輯(ルオ・ジー)を軸に、「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」は展開していきますが、まるで2つの別の物語を、1つに編集し直したかのような印象があります。
伏線と呼ぶには長すぎる、羅輯(ルオ・ジー)の妄想というか、想像上の女性との恋愛譚が、主題である、地球外知的生命体(三体人)が地球を攻撃しにやってくる物語にまとわりついているような感じなのです。
音楽でいえば、まったく別々に作った曲を、1つに作り直したような感じです。
しかし、羅輯(ルオ・ジー)の妄想力が、このあと役立つのではないかと期待しています。
三体人は思考を表示する
「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」で、明らかになった設定に、三体人は、思ったこと=話すことであり、そこには嘘がないということです。人間には、嘘があり、欺瞞があり、戦略がありますが、三体人にはないのです。
人間は本心を隠すことができますが、三体人は本心を隠すことができないのです。
これは、とても重要な設定です。
一方、地球には「智子(ソフォン)」という物質が放たれ、地球上で言葉として放たれた情報は、すべて三体人に筒抜けとなります。
「智子(ソフォン)」は、「三体」の最後のほうで説明されていた物質で、AIを搭載した陽子(だったかな?)のようなものです。
そして、「智子(ソフォン)」によって、科学技術の進化が阻害されているという設定なのです。
「三体」で、科学者が何人も自殺するのは、これが原因なのかもしれませんが、関連性は明確に書かれていません。
面壁者
そこで、登場するのが、面壁者(ウォールフェイサー wall facer かな?)です。直面する人、という意味だと思います。
羅輯(ルオ・ジー)は、適当に女遊びする、たいした成果を残していない学者なのですが、なぜか4人の面壁者のひとりに選ばれます。
三体人に考えを知られないために、面壁者は、何の説明なしに、自分の要求を通すことができるのです。
羅輯(ルオ・ジー)は、三体人のことなど忘れ、自分の思い通りの生活をするために、その権利を利用するのですが、破局を迎えてしまいます。
そして、羅輯(ルオ・ジー)は、本格的に面壁者として道を歩み始めます。
それが、「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」冒頭に登場する、葉文潔(イエ・ウェンジェ、三体人とコンタクトした人物)と羅輯(ルオ・ジー)の会話です。
そこで、葉文潔(イエ・ウェンジェ)が示したのは、2つの公理と、2つの概念です。
「生存は文明の第一欲求である」
「文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量はつねに一定である」
猜疑連鎖と技術爆発
下巻では、これらがテーマになってくるのではないかと思います。
遺伝子誘導ミサイル
ところが、せっかく面壁者として再スタートを切った羅輯(ルオ・ジー)を、遺伝子誘導ミサイルが襲います。地下200メートルの核シェルターに籠もってしまった羅輯(ルオ・ジー)の殺害指令が、三体人から地球の協力者たち(地球三体協会)にくだされますが、不可能にみえます。
そこで、登場するのが、ウイルス感染によって、遺伝子誘導ミサイルを羅輯(ルオ・ジー)に届けるという作戦なのです。
遺伝子誘導ミサイルとは、特定の個人にだけ発症、重症化して死に至るウイルスのことです。
感染力がきわめて高く、標的となる人物の周辺にまいてしまえば、確実に標的を仕留めることができるという遺伝子改造ウイルス。
感染すると風邪の症状がでるのですが、羅輯(ルオ・ジー)と直接会って話をする人物が感染し、羅輯(ルオ・ジー)にうつしてしまうのです。
そして、羅輯(ルオ・ジー)は、死の一歩手前で冬眠することになります。
羅輯(ルオ・ジー)の呪文
羅輯(ルオ・ジー)は、恒星の位置関係をあらわした立体地図のようなものが、人間の指紋と同じだということを利用して、50光年ほど離れた恒星に向けて、呪文をかけます。この呪文が、いったいどんな意味があるのか、まだ全然検討がつきませんが、まさかの第2勢力到来で、三体人に対抗するのか?なんて考えてしまいました。
そして、三体艦隊は、「智子(ソフォン)」だけでは足りないのか、新たな探査機を地球にむけて発射します。
三体人が、もっとも恐れる羅輯(ルオ・ジー)は、これからどうなるのでしょうか?
中国では、ドラマ化が決まったようなので、ますます先が読みたいです。
リアリストの代表・史強(シー・チアン)
前作でも大活躍した史強(シー・チアン)が、羅輯(ルオ・ジー)の警護役として登場します。しかし、前作で放射能に汚染され、白血病を発症。
一足早く、冬眠し、最後の決戦のときに再び目覚めるようです。
死にそうな二人が、下巻では、どんな活躍を見せてくれるのでしょう?
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