【五十嵐律人】『法廷遊戯』

法廷遊戯』読了。


永瀬廉さん、杉咲花さん、北村匠海さんで映画化され、11月に公開が予定されています。

読み終わった今、映画観に行くか、ちょっと迷っています。

というのも、出来上がりが想像できてしまって、それを超える作品とはならないような気がしてしまうからです。




イッキ読みできる作品です

法廷遊戯』は、著者が弁護士という作品です。

法律用語が出てきますが、きちんと説明されているので、理解しやすいと思います。

はじめこそ、時系列があっちこっちになるため、ちょっと読みにくいかもしれませんが、イッキ読みできる作品でした。

むしろ、最後の展開は二転三転して、読者を翻弄します。

が、ミステリーを読み慣れた人には、「たぶんこんな感じになるだろうな」と予測できる部分も少なくないので、予測可能な作品でもあります。

裏切られた印象はあまりないので、映画の公式サイトに書いてあるほどのものではありません。

むしろ、「そういう設定ありか?」という感じです。

それと、主人公の新人弁護士のカンがワルすぎ。

直感鋭い人なら、裏で仕掛けてきてるのはアイツしかないだろ、と突っ込みたくなるほどのカンの悪さなのです。

読者は、かなり早い段階で黒幕がだれかわかってしまうでしょう。



『真夜中乙女戦争』を思い出した

読んでいて、同じく永瀬廉さん主演の映画原作『真夜中乙女戦争』を思い出してしまいました。

永瀬廉さんから連想したというよりも、文体なのか、それとも大学生という設定なのか、それとも他のなにかが要因なのか?

とにかく、読んでいるうちに思い出してしまいました。

真夜中乙女戦争』は、ストーリーが頭にはいってくるというよりも、こころをつかまれるようなところがある小説で、わたしは好きです。

好きですが、このブログでは紹介していません。

文章として書けなかったので、映画を観たあとに映画評として書いています。

真夜中乙女戦争』は、負け組大学生が、勝ち組を排除していくような物語で、いわゆるディストピアものの一種だと思います。


法廷遊戯』は、法律をベースとした物語なのでディストピアものではないのですし、将来に目を向けている作品なのですが、なぜか絶望感を生むような印象が端々から感じられてしまいます。

それは、児童養護施設で育った主人公たちが置かれている環境、そしてそこから脱出するために行った犯罪など、絶望的といえば絶望的だからかもしれません。

その時の心理などに、『真夜中乙女戦争』と似たものを感じてしまったのかも。

不条理といえば不条理な環境を打破するには、犯罪に手を染めるしかなかった。

そんな少年少女の気持ちが理解できてしまうからかもしれません。

真夜中乙女戦争』が好きな人は、『法廷遊戯』も好きかもしれませんね。

法律家が書いたミステリーではありますが、必ずしも正義を振りかざしているわけでなく、仕方なく犯罪に手を染める弱者の物語となっているようです。

映画でどのように描かれるのか、ちょっとだけ興味はありますが、原作を超える作品になるとは思えません。

北村匠海さんの演技力で乗り切るのかな?



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