【石浦章一】「王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎」

王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎」読了。

電車移動の時間つぶしのために買ったのですが、Amazonの遺伝子・分子生物学カテゴリで1位になっていました。

人気なんですね。


それもそのはずで、「王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎」は、遺伝子の最新情報を踏まえながらも、歴史ファンが楽しめる内容になっているのです。





悪名高きイギリス国王リチャード3世

冒頭に登場するのは、シェイクスピアが悪者として描いたリチャード3世です。

リチャード3世の悪評は、シェイクスピアによって作られたものです。

そのリチャード3世の遺体が2012年に発見され、遺伝子検査が行われました。

王家の遺伝子は、歴史的にみて、血統が明らかなので、遺伝子検査をするにはうってつけの素材のようです。

詳しくは本書に譲りますが、遺伝子を調べたところ、シャーロック・ホームズ役で世界的に知られることになったベネディクト・カンバーバッチが、リチャード3世の子孫の一人だということがわかったのだそうです。


親子鑑定で家族の秘密が明らかに?

リチャード3世の遺伝子を調査に関連して、イギリス王室の系統において、父子間の断絶がある可能性が高いことがわかったのです。

このような事例として、アメリカの第3代大統領のトマス・ジェファーソンの子孫についても、非嫡出子のなかに、ジェファーソンの子孫がいたことが明らかになったり、逆に、ジェファーソンの子孫であるとの言い伝えが、実は間違いであったり、ということがわかっています。

親子鑑定は、男系のY染色体で判断するものと、女系のミトコンドリアDNAで判断するものとがあるそうですが、親子である、先祖であると確信していたことが、遺伝子レベルで覆されることもあるのは、アイデンティティの崩壊につながる恐ろしさがあります。


才能や身体的特徴は遺伝子ではわからない

デザイナーベイビーは、遺伝子操作して、才能や身体的特徴をデザインされた子どもという意味です。

遺伝子操作が簡単にできるようになったことから、脚光をあびているようですが、著者によると、そんなに簡単なものではなさそうです。

それよりも、病気の発現可能性については、遺伝子を調べることで明らかになります。

しかし、これも、家族全員の問題として考えるべきかどうかで意見が分かれるようです。

病気が発現するかどうかが、遺伝子の組合せで起こる場合、ヘテロでは発現しないのに、ホモだと発現するということがあるためのようです。

中学校のころに、優性遺伝と劣性遺伝という言葉でならいましたが、その遺伝子を持っていると必ず発現するのが優性遺伝で、ホモ(2つ揃う)でないと発現しないのが劣性遺伝子です。

遺伝子のことが理解されるようになるにつれ、個人情報という考え方だけではなく、家族全体で共有すべきかどうかまでが議論の対象となってきているのです。

遺伝子検査


食事が遺伝子の表現型を左右する

遺伝子のオン・オフが食事によって左右されることがわかっているようです。

食事の内容が違うと、まったく同じ遺伝子をもっている双子であっても、能力的に異なるのだそうです。

さらに、ショウジョウバエの実験では、生殖相手に同じエサを食べたショウジョウバエを選ぶという生殖隔離が起こることが判明しました。

食事の相性は、結婚相手を選ぶときに大事、と言われるのは、まさか遺伝子レベルで影響されているからではないとは思いますが、なんだか気になる結果です。

最新の情報がわかりやすく、コンパクトにまとめられているので、「王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎」を読んで、遺伝子に関する情報をアップデートすると良いのではないでしょうか。



コメント