「オリジン」読了。
ダン・ブラウンの作品を、久しぶりに手に取りました。
相変わらずのスケール感とスピード感で、AI(人工知能)と人間の未来について書いたストーリーは、実はリアルな「今」を描いています。
主にバルセロナであり、ガウディの建築群が登場します。
サグラダ・ファミリア、そしてカサ・ミラなど。
バルセロナは2回も行ってるのに、なぜかサグラダ・ファミリアには近づいたことがないな、なんて思いながら読みました。
グエル・パルクとカサ・ミラはちゃんと足を踏み入れ、カサ・ミラの1階にあった喫茶スペースで何かを飲んだことまで覚えているんですけど。
スペインが好きな人、ガウディが好きな人、バルセロナが好きな人には、おすすめです。
ダン・ブラウンの作品を読むと、表現が的確でリアルなためか、自分の過去の経験が、蘇ってきます。
30年近くまえに行ったバルセロナのことが、昨日のことのように蘇りました。
「ダ・ヴィンチ・コード」が流行ったころに、ちょうどロンドンとパリに旅したのですが、完全に「ダ・ヴィンチ・コード」巡りでした。
世界的な名所がどんどん登場するので、現地の写真入りの大型本がロンドンのハロッズで売られているのを発見し、重たい本を持ち帰りました。
今では希少本です。
「ダ・ヴィンチ・コード」のころには、土地土地を案内する、適当な登場人物が必要でしたが、「オリジン」では、AIがすべてを段取り、道案内までしてくれます。
スマホがすべての情報の起点となり、Uberだって、プライベートジェットだって、なんだって動かせてしまいます。
その分、余計な登場人物が必要なくなり、ストーリーは最小限の登場人物で構築されていくので、わかりやすく、読みやすくなっているように感じました。
というのも、「オリジン」のストーリーは、ラングドンの教え子であり、友人でもある天才・カーシュが、「人間はどこから来たのか」「人間はどこへ行くのか」の問いに対する回答を見つけたことを発端に、展開していきます。
カーシュは、それについてビデオにまとめますが、発表しようとして暗殺されてしまいます。
ラングドンは、カーシュの意志を尊重し、ビデオを発表しようとして、いつものように危険な目に遭うのです。
そして、人類の起源については、実在する物理学者であるジェレミー・イングランドの「散逸適応」という考え方が登場します。
そこに登場するのが、エントロピーです。
エントロピーとは、時間の経過とともに乱雑になっていくことを示すものですが、これによって生物が誕生したというのです。
ジェレミー・イングランドの理論については、「進化論を「再定義」する物理学者、ジェレミー・イングランドとの対話」に詳しいですが、むずかしいです。
「オリジン」のカーシュの説明のほうが、わかりやすいと思いますよ。
スペイン王室が絡んで、情報の修正を試みようとする広報官。
未確認の情報提供者が流す情報を、どんどん掲載し、拡散するネットメディア。
そして、AIがコントロールするさまざまな情報のなかには、カーシュが望んだ目的を遂行するために、密かに計画したことまでが含まれています。
しかし、これらを描き出すことによって、読者にとってわかりやすくなっていることも事実です。
いわば、物語の進捗をまとめる役目を果たしているようです。
しかし、説得力のある謎解きは、読者を納得させてくれる部分が多く、さすがダン・ブラウンだな、という感じです。
ただ、映像化すると陳腐な感じになってしまうのでは?と思います。
なにしろ、ネットとAI ですからね。
<関連の投稿>
【新井 紀子】「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」
【石浦章一】「王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎」
ダン・ブラウンの作品を、久しぶりに手に取りました。
相変わらずのスケール感とスピード感で、AI(人工知能)と人間の未来について書いたストーリーは、実はリアルな「今」を描いています。
バルセロナとガウディ
「オリジン」の舞台はスペイン。主にバルセロナであり、ガウディの建築群が登場します。
サグラダ・ファミリア、そしてカサ・ミラなど。
バルセロナは2回も行ってるのに、なぜかサグラダ・ファミリアには近づいたことがないな、なんて思いながら読みました。
グエル・パルクとカサ・ミラはちゃんと足を踏み入れ、カサ・ミラの1階にあった喫茶スペースで何かを飲んだことまで覚えているんですけど。
スペインが好きな人、ガウディが好きな人、バルセロナが好きな人には、おすすめです。
ダン・ブラウンの作品を読むと、表現が的確でリアルなためか、自分の過去の経験が、蘇ってきます。
30年近くまえに行ったバルセロナのことが、昨日のことのように蘇りました。
スマホとAIが人間をサポート
映画化され、世界的なヒットとなった「ダ・ヴィンチ・コード」のころには、まだスマホが普及していませんでしたが、「オリジン」では、スマホとAIが、ロバート・ラングドンをサポートします。「ダ・ヴィンチ・コード」が流行ったころに、ちょうどロンドンとパリに旅したのですが、完全に「ダ・ヴィンチ・コード」巡りでした。
世界的な名所がどんどん登場するので、現地の写真入りの大型本がロンドンのハロッズで売られているのを発見し、重たい本を持ち帰りました。
今では希少本です。
「ダ・ヴィンチ・コード」のころには、土地土地を案内する、適当な登場人物が必要でしたが、「オリジン」では、AIがすべてを段取り、道案内までしてくれます。
スマホがすべての情報の起点となり、Uberだって、プライベートジェットだって、なんだって動かせてしまいます。
その分、余計な登場人物が必要なくなり、ストーリーは最小限の登場人物で構築されていくので、わかりやすく、読みやすくなっているように感じました。
エントロピーは増大する
タイトルの「オリジン」は、始源とでも訳すのが適当なのかもしれません。というのも、「オリジン」のストーリーは、ラングドンの教え子であり、友人でもある天才・カーシュが、「人間はどこから来たのか」「人間はどこへ行くのか」の問いに対する回答を見つけたことを発端に、展開していきます。
カーシュは、それについてビデオにまとめますが、発表しようとして暗殺されてしまいます。
ラングドンは、カーシュの意志を尊重し、ビデオを発表しようとして、いつものように危険な目に遭うのです。
そして、人類の起源については、実在する物理学者であるジェレミー・イングランドの「散逸適応」という考え方が登場します。
そこに登場するのが、エントロピーです。
エントロピーとは、時間の経過とともに乱雑になっていくことを示すものですが、これによって生物が誕生したというのです。
ジェレミー・イングランドの理論については、「進化論を「再定義」する物理学者、ジェレミー・イングランドとの対話」に詳しいですが、むずかしいです。
「オリジン」のカーシュの説明のほうが、わかりやすいと思いますよ。
インターネットとSNS、そしてフェイクニュース
「オリジン」が、「今」を描いているというのは、インターネットにおいてSNSが影響力を増す現代において、何が本当で、何がウソなのかが、ますますわからなくなっている状況を、物語のなかで表現しているからです。スペイン王室が絡んで、情報の修正を試みようとする広報官。
未確認の情報提供者が流す情報を、どんどん掲載し、拡散するネットメディア。
そして、AIがコントロールするさまざまな情報のなかには、カーシュが望んだ目的を遂行するために、密かに計画したことまでが含まれています。
しかし、これらを描き出すことによって、読者にとってわかりやすくなっていることも事実です。
いわば、物語の進捗をまとめる役目を果たしているようです。
DNAとAI、そして進化論に関する最新情報
「オリジン」は、DNAとAI、そして進化論に関する最新情報を、うまく組合せて構築されたフィクションです。しかし、説得力のある謎解きは、読者を納得させてくれる部分が多く、さすがダン・ブラウンだな、という感じです。
ただ、映像化すると陳腐な感じになってしまうのでは?と思います。
なにしろ、ネットとAI ですからね。
<関連の投稿>
【新井 紀子】「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」
【石浦章一】「王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎」
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