『ウォーターゲーム』読了。
『森は知っている』から約20年後、という設定で、ふたたび水道事業民営化をめぐる国際的な裏取引がテーマとなっています。
ほぼ、続編といって良い内容です。
高校生時代の鷹野一彦の人間関係と当時の事件が、絡まり合ってくるというのがストーリーの根幹にあります。
ダム爆破
事件は、国内のダム爆破からはじまります。
水道事業民営化を加速させるために、日本国内の複数のダムを破壊するのです。
地方自治体の弱体化を背景に、水道事業を民営化するモデル地区にしよう、というとんでもない計画が進むのですが、計画立案者がダム爆破を中止としたにも関わらず、ダムの爆破が実行されてしまいます。
計画者たちは焦り、AN通信に事後処理を依頼するのです。
二転三転する水道事業の行方
いっぽう、AN通信にも危機が訪れます。
AN通信が、産業スパイ組織であることを暴露するような動きが出てくるのです。
心理的にAN通信を応援する読者にとっては、これはかなりの脅威です。
そして、水道事業民営化の主導は、最初に計画を立てた日本人グループから、謎のシンガポール人、そしてイギリスの投資会社へと移っていきます。
ここに中央アジアのキルギスが絡んでくるにいたり、水道事業民営化にむらがる拝金主義者たちの全貌が明らかになってきます。
半分くらい読むとラストの想像がついちゃう
ちょっと残念だったのは、半分くらい読んだあたりで、「この人は鷹野一彦関係者だろう」とわかってしまうことです。
たぶん、著者もそれは予想していて、この鷹野一彦関係者が、鷹野一彦にとって悪なのか善なのか、をかなり引っ張って書いているようでした。
ただ、読者の期待する形にランディングするはずなので、最後は、すべて丸く収まるだろうという想像がついていしまいます。
しかし、この想像を超えるくらいの事件が目白押しなので、スパイ物にはアクションが欠かせないと、改めて思いました。
最後まで一気読みできる作品です。
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