【阿部智里】「楽園の烏」

楽園の烏」読了。


八咫烏シリーズの第2部がスタートしたみたいです。

第1部は、八咫烏ワールドの背景を説明しつつ、山神と猿との関係を紐解いていくものでした。

金鳥(八咫烏における天皇のような存在)となるべき人物の記憶、人喰い猿との戦争、そして人間界との関係などが、第1部では描かれていました。

八咫烏の世界のファンタジーは、とても魅力的な設定だったのですが、第1部の最後はイマイチな印象が残っていました。

しかし、第2部があったんですね。

人間界の遺産相続からスタート

楽園の烏」は、人間界の遺産相続からスタートします。

主人公の「安原はじめ」は、山内(やまうち)がある荒山の所有者に指名されます。

父とは血縁関係はなく、優秀な兄姉たちも、はじめ同様に養子です。

しかし、はじめは、父から特別な教育を受けた風変わりな人物。

山の所有者となった直後から、「山を売って欲しい」というアプローチを受けるようになるのですが・・・・。


父は山内の人間だった!

物語のなかでは、最後になってわかるのですが、安原はじめの父は、地下街を統治した朔彦であり、50年前に山内から人間界に進出し、経済人として成功しています。

物語のはじめのほうに、その父の説明がありますが、「八咫烏では?」と疑わせるに十分な記述があるので、最後のどんでん返しで、そんなに驚きません。

もしかしたら、はじめが八咫烏かも・・・、と勘ぐってしまいそうになりますが、これまた最後のほうに、八咫烏の赤ん坊を人間界で育てている、というではないですか。

ということは、第2部は、人間界にやってきた八咫烏のストーリーになるのかもしれません。




第1部から20年後の物語

楽園の烏」には、ニューフェイスのほかに、第1部で活躍した雪哉、千早などが、壮年になって登場します。

とくに雪哉は、今回は、腹の底の知れない政治家として、山内の将来のために、冷徹な判断をくだします。

地下街と呼ばれる下層民が集まる場所を掃討し、男は馬に、女は工場へ、そして子どもは地下街に残し、ばらばらにします。

表向きは理想的な政策であり、いかにも美しい楽園のようにみえます。

しかし、本当にそうなのか?

安原はじめは、山内を見学するうちに、雪哉こと雪斎の裏の裏まで、見透かすようになります。




今後の成り行きが楽しみ

楽園の烏」は、第2部スタート!編なので、謎がいっぱい残されています。

安原はじめの父・朔彦は失踪宣告を受けますが、死んだことが確認されているわけではありません。

はじめについてきた八咫烏の頼斗(よりと)の真意は?

人間界で育てられている八咫烏の子どもたちは?

そして、肝心の金鳥はどうなっていて、山内はどうなってしまうのか?

つぎが楽しみな終わり方でした。


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