「時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS」読了。
本書は、「技術変化のペースが急激に早くなった21世紀には、これまでの2万年分に相当するような進歩が見られる」と指摘されている時代に生きる我々にとって、必要な考え方・行動・意識を解説したものです。
これを「スマートカット=賢い近道」と定義しています。
時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS | ||||
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このスマートカットとは、スーパーマリオの土管ワープのようなもの、と著者は言います。
我々の能力は飛躍的に高まっているのに、ほとんどの人間は多くの人が通ったわかりやすい道を歩こうとする。
がむしゃらに取り組むことはあっても、それがスマートなやり方かどうかを疑問に思うことはまずない。
その結果、コツコツやてもいっこうに伸びない、となる。
つまり、すでに手にしているITを駆使すること、いろんなことを簡単にしてくれるプラットフォームを活用することによって、余計な時間を省くことができるのに、なぜやらないのか?
ハッカー的思考「ラテラル・シンキング」
既成概念にとらわれずに、いろいろな角度から問題を解決する手法をラテラル・シンキングといいます。スピード成功者の多くが、このラテラル・シンキングを駆使している、と著者は主張します。
本書を読む前に書いた「新卒社長」の特徴にも通じる、情報を多角的に分析する力、物事をひっくり返してみる視点などが、このラテラル・シンキングに通じます。
電卓を使用したほうが数学への興味が強くなる
本書では教育が多くの事例として取り上げられています。そのなかのひとつが電卓を使わせるかどうか。
調査結果では、電卓を使用する学生は、そうでない学生と比べて数学に対する意識が高いのだそうです。
さらには、科学、技術、エンジニアリングなどを志向する傾向も高い。
子どもに九九などを無理やり覚えさせても、数学の能力が高まるわけではなく、むしろ逆、なのです。
電卓などのツールを使いこなせるようになることで、概念的な理解力が高まることが証明されているのだそうです。
これを否定する考え方はあるでしょう。
ですが、大学生を見ていると、九九は言えても電卓は簡単な加減乗除しか使えませんし、EXCELに至ってはチンプンカンプンな学生が多いのです。
数学は論理学。
考え方を学ぶ学問のはずなので、知識よりも概念的な理解力を重視した教育のほうが正しいと思います。
クリオ賞を受賞したオレオのツイート
本書では、具体的な成功事例が紹介されています。そんな中で、すぐに確認できるのがこのオレオのツイートです。
Power out? No problem. pic.twitter.com/dnQ7pOgC— Oreo Cookie (@Oreo) 2013年2月4日
2013年のスーパーボウルのとき、34分間の停電がありました。
その時に流れたのが上のツイートです。
「暗闇でもダンクできるよ」。
これが、停電のあいだにリツイートされ、オレオは優れたCMに授与されるクリオ賞など複数のタイトルを受賞します。
本書では、このツイートは担当者が機転を利かしてタイミングよく流すことができるように、実は長い時間をかけて準備していたと書かれています。
勢いにのって成功するには備えが必要
ユーチューバ―として成功したミシェル・ファンの事例もあります。レディ・ガガの「バッド・ロマンス」のミュージックビデオを発表され人気になると、「レディ・ガガになるメイク」を発表して大人気になったメイクアップアーティストです。
彼女の成功譚は、単にコツコツと努力するだけでなく、調査・分析して自分の努力を高く評価されるタイミングを読むことがいかに重要かを示しています。
つまり、運も自分で呼び込む。
彼女が行ったのは、YouTubeのトップページに取り上げられている内容がどういうルールで変わるのかを分析するために、何カ月も見続けたこと。
その結果、木曜日に動画が紹介されれば4日間トップページで紹介されることに気づきます。
そこで彼女は、「レディ・ガガになるメイク」の動画を絶好のタイミングで投稿し、ファンに一斉に閲覧してもらえるように告知。
この作戦が成功し、4日間もトップページに掲載され、その間にニュースサイトに取り上げられることで、さらに拡散していきました。
もちろん彼女が一発屋ではないことは、それまでにもたくさんのメイク術を動画で紹介していたことです。
シンプル化の追求こそイノベーション
ハッカーや起業家の多くがシンプルを追求しています。たとえば、毎日着る服を選ぶことに時間をかけないために、同じ色のシャツとジーンズにするなど、細かい意思決定を避ける傾向にあると著者は主張します。
そして、こんな実験結果も紹介してます。
それは、被験者である学生たちに、長期間にわたって強制的に様々な製品選択を経験してもらい、続いてランダムに出題される問題に回答してもらったところ、他の学生と比較して大幅に意欲の低下が見られた、というのです。
子どもたちにもいろいろな選択をしてもらってから、あまり気乗りしない課題(たとえば宿題)をさせる実験も行うと、与えた課題の成績は、意思決定をしなかった子どものほうが数倍も良かったのです。
つまり、日常的に選択の多い生活=意思決定の多い生活、をしていると、肝心なときに最高のパフォーマンスを出すことができない、ということです。
また、自由はアイデアをせき止め、制約があるほうが独創性を発揮しやすい、とも指摘しています。
スタートアップ企業を見ていると、規制が多い業界で起業したほうが成功する確率が高いように思えるのも、実はその規制が独創性につながるのでしょう。
本書は、21世紀を生きるあらゆる人々におすすめですが、中でも、今までのやり方では成長がない、成功できないと感じている方には必須の書だと思います。
休日の午後で読み切れますから、ぜひどうぞ。
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