上橋 菜穂子
虚空の旅人 (新潮文庫) | ||||
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おもしろいことに、売り上げランキングは、巻を進めていくにつれてちょっとずつ下がっているんですね。
ファンタジーだから、どこから読んでもわかるってわけにもいかないからでしょうか。
シリーズ化を決意するターニングポイントとなった作品
本作の主役はチャグムです。
精霊の守り人から3年後、皇太子として隣国の新王の戴冠式に出席するという設定です。
陰謀うずまく宮廷という裏舞台と、ちょっとこむずかしい国際関係という表舞台の両面で、チャグムと、その参謀役のシュガ(若き星読博士)が活躍します。
バルサは一切出てきませんが、前作の「闇の守り人」や「夢の守り人」がバックグラウンドミュージックのように利いています。
成長するチャグムを描いた物語
本作では、チャグムと同い年で、一本気で純粋な第2王子タルサンとの対比によって、チャグムの知性と知恵が描かれる一方、シュガにたしなめられる場面では、チャグムの未熟さを描き出しています。チャグムの成長がナユグを知ったことに深く関わっていることも描かれていて、こんご、父の帝との関係にも深く物語が入っていくのだろう、という予兆がなんとなく感じられる作品です。
ちなみに、NHKドラマの「精霊の守り人」 のほうは、第1シリーズの第3話まで放映されました。
ドラマのほうを観ていると、第1シリーズは原作の「精霊の守り人」にバルサの背景情報としての「闇の守り人」が加えられています。
NHKは、3年がかり、全22回で放送シリーズを制作するということなので、4話1シリーズとすると、第2シリーズでは「夢の守り人」がベースとなった物語になるのではないでしょうか?
バルサが出てこない本作「虚空の旅人」は、ドラマのなかでは大きく取り上げられないだろうな、と思いつつ、読みました。
ドラマシリーズのほうも見逃せませんよ。
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