【青崎有吾】『ノッキンオン・ロックドドア』

ノッキンオン・ロックドドア』読了。


ドラマ化されると知って、手に取りました。

本格的な謎解きミステリーに加え、登場人物にも謎がある、という設定です。




シャーロック・ホームズシリーズを日本の現代で再現

ノッキンオン・ロックドドア』に登場するのは、御殿場倒理(「不可能」犯罪専門探偵)、片無氷雨(「不可解」犯罪専門探偵)のコンビ。

どちらも探偵ですが、キャラクター設定をみると、御殿場倒理がシャーロック・ホームズ的であり、片無氷雨がジョン・ワトソン的な存在であることがわかります。

探偵と相棒ではなく、どちらも探偵であることが、シャーロック・ホームズシリーズとの違いではありますが、片無氷雨は、「自分ひとりでは何もできない」と思っています。

さらに、レストレード警部の役回りには、穿地決(うがちきまり)が登場。

そして、ジェームズ・モリアーティ教授には、糸切美影(いとぎりみかげ)という犯罪トリックを考えて提供する人物が登場します。

この4人は、大学で同じゼミだったという因縁もあって、さらに御殿場倒理の首筋には傷がある、という謎もついてきます。

謎解き部分は、本家のシャーロック・ホームズシリーズにも似て、なかなか楽しめます。

登場人物の年齢は25,6歳という設定のようなので、ジャニーズがドラマ化したくなるのがわかります。



まさかのチープ・トリック

作中に登場するのが、アメリカのバンド「チープ・トリック」の歌詞です。

1970年代後半に登場して、すぐに消えた印象のバンドですが、現在も活動を続けているようです。

『サレンダー』くらいしか知らないので、歌詞が英文で登場されても、これは何?という感じですが、「チープ・トリック」というバンド名がキモなんですね。

歌詞を置くことで、糸切美影(いとぎりみかげ)が考えた犯罪であることを表明しているわけです。

そして、過去の因縁や謎がちょっとずつ引っ張り出されてくるようです。

片無氷雨は、糸切美影と、ある古書店で言葉を交わしています。

定期的なものらしいのですが、御殿場倒理は知りません(知ってるかもしれませんが、今のところ知らないことになっています)。

というわけで、この4人に、いったい何が起こったのか?

というのが、最大のミステリーとなっているようです。



次を手に取るか?どうしよう

ノッキンオン・ロックドドア』は、短編集でもあります。

シリーズとしては、今のところ、全13話が書かれていて、文庫2冊分となります。

今回読んだのは、2014年から2015年に書かれた短編に描き下ろしが加えられた文庫なので、もう一冊読めば、とりあえず読破が可能です。

とはいえ、少し悩みます。

各話のタイトルを読むと、大学時代の謎が解明されているわけでもなさそうな印象だからです。

シリーズが完結しているわけではなさそう・・・。

最近読んだ記事によると、動画配信サイトで、シリーズが完結しているかどうかによって、視聴率が変わる、ということが数字でわかってきたようです。

当然ですが、完結していて謎がすべて明らかになっているシリーズのほうがドラマの視聴率が高いのだそうです。

そして、シリーズ完結物を好むのは、女性視聴者に多いということも。

つまり、シリーズが完結しているなら続きを読むけど、完結していないなら読むのはちょっと待とう、という気持ちになっているのです。

どうしようかな?



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