イアン・ブレマー
たしか日興証券の主催のセミナーでしたが、切れ味のよい内容で、ジオ・エコノミクスが今後主流になる、という主張に納得!でした。
「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか | ||||
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書かれたのは、東日本大震災のあと、2011年の前半くらいのようなので、その後のイスラム国(IS)についての記述はありませんが、ほぼ、イアン・ブレマーの予測通りの展開となっているのではないでしょうか。
「Gゼロ」の「G」とは?
本書は、国際協力に関するリーダーシップをとる国がない世界では、どんなことが起こるかについて予測したものです。アメリカが長く、リーダーシップをとって国際問題の調整を行ってきた20世紀はおわり、新興国の台頭によって、その主張を受け入れざるをえなくなっている時代とは、どんな世界なのか、を述べています。
つまり、Gとは、G7とかG20のGのこと。
ふんふん、なるほど!と思った部分をいくつか抜粋して紹介すると・・・・。
Gゼロ世界では、列強の争いは現実世界の戦場よりもサイバー空間で行われる見込みが高い。天然資源や市場シェアの争奪戦では、国家が支援する産業スパイが、これまでにも増して広く使われる兵器になるからだ。
世界の国々に、飛行機や船を使って移動する人と荷物へ画一的な審査基準を適用し、それに伴うコストと責務を分担するように説得することの重要性は、かつてないほど高まっている。しかし、あらゆる国が自分のために行動する時代において、それを成し遂げることはかつてないほど難しくなっている。
2011年6月、上院での就任承認にあたり、国防長官レオン・パネッタは、「われわれが直面する次なるパール・ハーバーは、電力系統、電力網、セキュリティ・システム、金融システム、政府系システムを無力化させるようなサイバー攻撃になるかもしれない」と述べている。
Gゼロ世界では、国際的な力の均衡を決定するのは軍事力ではなく、経済力なのである。外国の投資家にとって、ロシアの魅力は、膨大な石油と天然ガスの埋蔵量だ。中国の場合は、潜在的な消費者基盤の規模と、安価な労働力だ。そのことをよく承知しているこれらの国々の政府は、今や、自国の企業、消費者、天然資源について、外国に利用を認める機会を、利用可能な最も貴重な武器とみなしている。
この移行の時代において生存と繁栄のために一番重要なことは、世界体制に生じる変化によって、前例のないほど多くの国々の政府が、独自のルールでゲームを行えるようになるという事態をきちんと認識することだ。
このような世界にあって、勝者となるのはどこか?
それはピボット国家である、とイアン・ブレマーは説く。
ピボット国家とは?
片足を軸にして旋回し、複数の国と関係を持ち、その時々によって付き合う相手を変え、それによってリスクを分散できる国、のことです。過去30年にわたり、国際関係の勝者とは、先進国主導のグローバル化に適応し、そこから利益をあげる国のことだった。重心が地域ごとに分散し、いかなる国もグローバル・リーダーの役割を演じない世界において、各国政府は自らの手で、より多くの好機をつくり出さなければならない。ピボット国家としてふるまえるということは、決定的に重大な利点となるのである。同様に企業においても、
Gゼロにおいて、専門的に特化することは危険になりうる。かつては不格好で非効率と見下されていたコングロマリットが、多くのものに投資してリスクを分散できるようになったことで、それに応じて利益をあgられるような位置につけている。代表例として、インドのタタ・グループが紹介されています。
最終章では、Gゼロ後の世界の可能性を示しています。
もっとも可能性が高いのは、地域分裂世界です。
詳しくは、本書をお読みいただきたいのですが、今までとはまったく異なる世界観が見えてくるでしょう。
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