【入山 章栄】「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」




アマゾンの起業・開業カテゴリでベストセラー1位になっている「ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学」読了。

著者の入山章栄氏は、早稲田大学ビジネススクール准教授。

米国でPhDを取得した、欧米の経営学に精通した方のようです。

ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学
by カエレバ

実は、私が(非常勤ですが)所属しているのも「経営学科」。

なのですが、そもそも「経営学」って????

どういうことを明らかにしたいのか、まったく理解できないジャンルでした。

そんな私に「経営学って面白い」と思わせてくれたのが本書です。

日本で売られているビジネス書とか、学者の書いたモノの多くが、事例分析であり、思い付きはいいけど説得力に欠けるようなものが多いので、ビジネス書は手にとってもお金のムダ、と長いこと感じておりました。

本書では、私のような疑問を持った方への回答と思われる、経営学での最新の知見が紹介されています。




喫煙者ネットワークはトランザクティブ・メモリーを高める

例えば、喫煙室における喫煙者ネットワークの有効性。

私は非喫煙者ですが、喫煙者ネットワークには何かあるとおもっておりました。

わたしの知り合いの社長さんに、喫煙室ですべてが決まってしまう、と感じて煙草を始めたという方もいらっしゃるくらい、実は喫煙者ネットワークには、何か重要なものがあります。

このことを経営学的に解明すると、喫煙室でのインフォーマルなコミュニケーションが、トランザクティブ・メモリーを高める、ということになります。


真にグローバルな企業は世界に9社だけ!

また、グローバルと言われて久しいですが、経営学者による統計調査によると、真にグローバルな企業は世界に9社だけだとというのです。

IBM、インテル、フィリップス、ノキア、コカ・コーラ、フレクトロニクス、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン、ソニー、キヤノン の9社です。

ほとんどの企業は、売上を本国エリアに依存しており、世界中からまんべんなく売り上げを上げているわけではないのだとか。

言われてみればそうかも、と本書に気づかされました。


かなりの良書

本書は、経営学が明らかにした経営の真理をまとめたもの。
かなりの良書です。

経営に係る方はもちろんですが、誰が読んでも、きっと楽しい内容です。

開くと寝入ってしまうような学術書ではありません。

また、最終章には、アメリカのビジネススクールや大学のこと、MBAとPhDの違いなど、詳しく解説されていますから、学者になりたい、と思っている方にもおすすめです。


唯一気になるのは、「世界最先端の経営学では」という枕詞。

かつて「アメリカでは」という枕詞を使うことで、「出羽(では)の守」と揶揄された経済学者の方がおられましたので、そのような揶揄があっても、はねのけていただきたいです。


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